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2009年01月05日

仙石通泰ブログ37 Optimization 経営を考える「黎明を生きるこころ」③

新年明けましておめでとうございます。ことしも平和で皆様が健康でありますよう祈っております。どうかOptimization Company三技協を本年もよろしくご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。ことしは丑年、ウシのように悠然と生きたいものです。

1月20日、アメリカの大統領就任式で、バラク・オバマ大統領が政権を引継ぎます。若くケニヤ人の血を受け継ぐ異才、異能の指導者です。オバマ新大統領は選挙で訴えてきた公約「チェンジ」を実現すべく、いろいろな新しい政策を打ち出してくるでしょう。

アメリカの政治は8年続いた共和党政権から大統領府も連邦議会も民主党主導に切り替わります。ブッシュ大統領のイラク侵攻や昨年暮れ、サブプライム問題に始まった世界同時不況をどう乗り越えるかが、オバマ大統領への期待とともに全世界が注目しています。

一方、日本は年内に、衆議院総選挙が行われます。国会解散となるのか任期満了による選挙となるのかは、麻生首相の決断次第ですが、前回にも書きましたように職を失う人たちを救済するために政治の出動が待たれています。打つべき手は打って生気溌剌とした年にしたいですね。

わが社も景気後退の激流に無関心ではいられません。社会激変の時代だからこそOptimization 経営の真価が問われるのではないか、と考えています。わが社は採用内定取り消しとか人員削減は致しません。社員の犠牲で会社が儲ける、というのは言語道断です。

社員があっての会社です。もちろんお客様があっての会社であり、株主があっての会社、さらに地域社会の一員としての会社です。私はこの困難な時代に他社がどんな経営をするのか存じませんが、従業員を犠牲にした会社経営は王道を行く経営ではありません。

「100年に一度の危機」という言葉がメディアで踊りますが、「100年に一度の危機」は「100年に一度の絶好のチャンス」でもあると考えたい。それこそOptimization 思考なのです。
みんなで「会社を最適化(Optimization)」するのです。知恵とエネルギーはわが社内にあり。

一人ひとりが考えて、考えて考え抜く。問題解決に熟慮し、悩み、工夫し、試行する。PBTを実施してみる。そのプロセスで何か光が見えてくるでしょう。三技協という会社はOptimization で力強く前進します。

そんなことを考えていますと何か勇気が溢れ、精気が漲ってくるような予感がします。楽しい年にするのは自分自身です。明るい年にするのも私たち自身です。みんが一体となって職場を「カイゼン」し、より効果がでる仕事の方途を創造してゆきましょう。

大切なのは黎明のこころのもち方なのです。本年もよろしくお願い申し上げます。がんばりましょう。

2008年12月24日

仙石通泰ブログ36 Optimization 経営を考える「黎明を生きるこころ」②

師走に入り日本は急激な円高騰と大幅な景気後退で列島大騒ぎです。テレビは連日、製造業の生産調整や採用者の内定取り消し、非正規社員の首切りなど雇用問題を取り上げ、職を失い、従業員寮を追い出される気の毒な人々の越年について報道しています。

この歳末の風景は想像以上に深刻です。9月にアメリカで大手証券会社、リーマンブラザーズが経営破綻した時、こうした事態を予測した日本人は何人いたでしょうか。サブプライムというアメリカ発の問題が全世界に波及し、モノが売れなくなった。世界同時不況です。

20世紀を席巻した輝かしきアメリカの自動車産業が瀕死の重態です。ビッグ・スリーが潰れたら300万人の失業者がでる、と言われ、ブッシュ大統領も救済のためのつなぎ融資700億ドル(約63兆円)を検討しているそうです。市場に任せたら経営破綻必至の状況です。

米ドル安、韓国ウォン安などの煽りで日本の円が急騰、12月後半ついに1ドル80円台に突入しました。昨年、1兆8000億円という途方も無い利益を出したトヨタが今期は赤字転落必至との予測です。トヨタは為替が1円上がると400億円の為替差損がでるそうです。

ソニーもキャノンもトヨタも生産台数を下方修正し、一斉に人員整理に入りました。トヨタが100万台、計画より生産台数を削減すると発表しました。ということはトヨタに収めている部品メーカーも100万台分のパーツが不要となり、生産を削減せざるを得ません。

生産量を減らせばその分だけ人員が要らなくなります。暮れに入って「明日から来なくていい」と言われた非正規社員の人たちの話が話題となり、政治問題化しています。政府は緊急対策を打ち出し、職を失った人をどう守るか必至です。とんだ年の暮れとなりました。

2008年もいろいろなことがありましたが、今回の事態は短期に改善できる問題ではありません。景気後退は世界的、グローバル経済全体を覆っていますから回復には時間がかかります。こうした環境の変化で、ある日突然、ビジネスが成り行かなくなる瞬間を迎えます。

会社は行き詰り倒産という悲惨に直面します。それを私は「産業の突然死」と呼んでいます。人間に突然死があるように会社にも突然死がある。会社を取り巻く環境の変化を敏感に読み取って、その変化に対処できるかどうか。時代を読む感覚が生死の境目となります。

2008年を象徴する言葉は<>でした。<化><激><革>などいろいろ読み方はあると思います。その変化はビジネス界にも押し寄せ、会社は<身>せざるをえません。秋葉原の殺傷事件とか振り込め詐欺の頻発とか食品偽造・偽称・・・何か<>ですね。

除夜の鐘の音を聞きながら私の周辺で<産業の突然死>をどう阻止できるのか、じっくり考えながら2009年を迎えることになりそうです。オバマの登場でアメリカが<>わり、世界が<>わります。<>わらない平和な楽しいお正月をご一家でお迎えください。
(今日の画像は、今年最後の講演の一景です)

2008年12月19日

仙石通泰ブログ35 Optimization 経営を考える「黎明を生きるこころ」①

早くも師走となりました。時の流れの速いこと速いこと。世の中の移り変わりが超特急のように駆け抜けてゆきます。洞爺湖サミットがことしの夏だったという実感さえ遠のき、北京五輪もかなり過去のような感じがしてなりません。

これはまさにインターネットが私たちの生活に”どかん”と入り込んできて、携帯電話の普及とともに人と人とのコミュニケーションが一瞬にして双方向で可能となったからではないでしょうか。ということは生活もまた急ピッチで変化してゆきます。

その変化をきちんと読み理解し対応してゆくことがビジネスを左右してゆくように思います。私がこのBlogで何度も語ってきたようにデジタル社会を生きるにはOptimization(最適化)がキイワードではないか、と考えています。

ことしの流行語大賞に「アラフォー」と「グ~!」が選ばれました。この言葉の意味をすぐ分かるお年寄りはいったいどれくらいの割合でしょうか。少なくともテレビのドラマやお笑い番組にあまり関心がない世代にとっては何のことやら分からないでしょう。

40代前後の輝く女性たちを指す言葉が「Around 40」(アラウンド・フォーティーを短縮して「アラフォー」)です。「グー!」は人気お笑いタレント、エドはるみさんのギャグでした。北京オリンピックのソフトボールで金メダルを獲得したエース上野由岐子選手の「上野の413球」も特別賞だそうです。女性群の活躍が際立ちます。

一方、プロレタリア文学の名作、小林多喜二の「蟹工船」がブームとなり、若者が読んでいるそうです。また「後期高齢者」とか「名ばかり管理職」という嫌味な響きの言葉が流行したのも時代を映し出しているのでしょうか。

アメリカ人は圧倒的な票差で黒人政治家、バラク・オバマを第44代大統領に選びました。オバマに集まった巨額の選挙資金はウエブによる大衆カンパでした。Youtubeでの討論など大統領候補と選挙民がインターネットで直接、触れ合うことができた史上初の選挙、究極の民主主義ではなかったか、と私は考えています。

アメリカはオバマという新しいタイプの指導者により、大きく変わるでしょう。1960年の選挙で共和党のニクソンを破った民主党のジョン・F・ケネディを想いだします。選挙戦でニクソンにリードされていたケネディが僅差で勝てたのはテレビ討論だった、と言われています。テレビもインターネットも政治を変えるパワーを有しているのです。
進化した技術を選挙戦術としてうまく使った側が勝利することができた。会社経営も同じです。デジタル社会の到来に対応してOptimization 経営を率先して取り込むことができる会社がサバイブできると思います。

2008年11月20日

仙石通泰ブログ34 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」⑧

Googleキャンパスを訪れ、その革命的経営思想を目の当たりにして触発されるものはありました。基本的にGoogleの経営者は世界中から最優秀の人材を一手に集め、快適な職場環境を提供し、そこから世界一、だれも追随できないような優れた技術をさらに開発して行こうということなのでしょう。
その結果はGoogle EarthやPicasaのように、思いつくけれど誰もやっていない(実現できなかった)ような無料サービスが、ある日突然Googleからリリースされることからうかがうことが出来ます。

従来の「人事管理」という考え方を完璧に棄てきっています。経営側は開発戦略を示して後はすべてを現場スタッフに任せる。そしてスタッフが開発する結果から優れた技術を採用してGoogleが提供するシステムに組み込んでゆく。徹底的な結果重視でスタッフを評価するという経営思想なのです。

30歳のN君の待遇を聞けばまず日本の企業ではありえないほど凄い。それに見合う斬新な発想、閃いた鋭いアイディアでソフトを開発してゆく実行力が伴わないと競争からドロップせざるを得ません。そのプレッシャーはまた想像を超える厳しさであろうことはN君の言葉の端端から伺えました。

Googleの経営に翳りが出てきた、と思わせる記事がNew York Times紙に出ました。2008年7月5日の同紙のwebsiteはJoe Nocera記者の「On Day Care, Google Makes a Rare Fumble(デイ・ケアで珍しく躓くGoogle)」という記事が掲載されました。Googleは社員の幼児のデイ・ケア・サービスを見直し、費用を倍額にすることを検討している、という観測記事です。

しかもこの記事のよるとGoogleの株価はピーク時、2007年11月、740ドルだったのが、記事が書かれた2008年7月の時点で490ドルと43%も急落、ダウ・ジョーンズの平均株価の値下げ率17%より下げ幅が大きいと指摘しています。

2004年の株式公開後、IT業界の革命児・Googleの進撃は並みいるITベンチャーを圧倒し、公開後わずか3年で8.7倍に急伸し、Micro Softに迫る成長で注目されたことは本Blogで先述しました。そのGoogleに翳りが見え、株価が下がってきた。

食費無料、構内にスポーツクラブ、出産支援、育児援助、洗車、オイル交換設備など注目された従業員の優遇政策を全面的に見直す、というNY Timesの記事は大きな反響を呼んでいます。そしてこの社員厚遇政策を止めたら優秀な社員が流出するかも知れないと暗示しています。

2年連続で『Fortune Magazine』が、”Best Company to Work For(就労最優良企業)”と評価したGoogleが輝きを失いつつある、というNY紙のコラムは厳しい開発競争で鎬を削る最先端技術業界の凄まじさを実感させるものがあります。Googleキャンパスを実際に見てきた直後だっただけに考えさせられる記事でした。

2008年10月30日

仙石通泰ブログ33 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」⑦

ぼくら一行はGoogleの中堅技術者(といっても未だ30歳の若者ですが)N君を訪ねました。「Googleのキャンパスを見に行きませんか」と誘ってくれたジャーナリストの友人の息子さんで、日系二世です。メールで指定されたビルに行ったのですが、受付に誰もいない。

携帯に電話してもメッセージが満杯で繋がりません。途方にくれていると女性が通りかかったので「N君とアポがあるのですが・・・」?と訊くと「ちょっと待って」とオフィスに探しに行ってくれました。話を傍のソファで聞いていた女性がパソコンでN君にメッセージを送ってくれたらしい。

「N君、すぐ来るわよ。メール送ったら『今、行く』って返事あったから」玄関のソファで数人がノート・パソコンを膝の上に乗せてモニターを見つめています。誰も無言でキイを叩いています。後で分かったのですが、その人たちもGoogleで「仕事」をしていたのだそうです。

スタッフのデスクはありますが、どこで仕事をしても、何時休んでも、遊んでいても各人の自由なのだそうです。N君のオフィスを見せてもらったのですが、狭くてデスクとパソコン以外なんにもない。何時間もサイバー・スペースに入り込んで仕事をしているとストレスを感じるのでしょう。別の空間で気分を変えたいのかもしれません。

Googleの世界はなにか雑然として、組織性とか統一性が感じられません。オープン・スペースに抽象のオブジェが並んでいたり、パソコンで描いた絵や写真が展示してあったり。子供の遊びのようなスペース、どうも表現しにくいのですが、大学の雰囲気と幼稚園の遊戯場が混ざり合ったような実に妙な不思議空間といった印象でした。

「ソフト開発は徹底的にクリエイティヴな発想が必要です。ですからスタッフの“閃き”が大切です。人間、自由でないと新しい発想、閃きが出てこない。ぼくらはそんな気分で仕事をしているのです」

閃いたらそこですぐ、パソコンにアイディアを打ち込んでみるのだという。実直なN君の説明に納得したような、できないような気分でした。ある建物のロビーのような空間に70インチくらいの大きなパソコンのモニターがありました。モニターは画面いっぱい宇宙から見下ろした地球を映し出しています。

この地球上のあらゆる情報をデータベース化し、検索できるようにする~という冷静に考えてみれば空恐ろしいことを実際に実現しようとしているのがGoogleという企業なのです。例えばですね、とN君はモニターの地球儀にマウスを当てて動かし始めました。

「これは全世界の女性の就労比率を表示しています。これを見ますとどの国が女性の就労度が高いか低いか、すぐ分かります」Googleのデータ検索技術で、世界各国が公開している公的情報を刻々、計算して比較表示している実例を見せてくれました。

バーベギューの光景に出くわしました。雲ひとつ無いカリフォルニアの空、まるでピクニックのような気分になります。焼いた肉をもらって野外のベンチに腰掛け、Googleの社員になったつもりでバーベギューをいただきました。

Googleのキャンパスで目撃した光景はIT革命が行き着く先の企業のありうべき姿を先取りしているのか、それともGoogleという特殊な会社だけの特殊な経営思想によるものなのか、私には判断不能で複雑な感慨を覚えました。

2008年10月15日

仙石通泰ブログ32 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」⑥

Googleという怪物企業について考えてみたい。それはOptimization 経営理論に深く関係するからです。数多くのIT関連ベンチャー・ビジネスが起業してきた中でGoogleは発想という点からして、群を抜いて特異で革命的な経営思想のもとに出現しました。

ウエブという無限の情報界を市場とし、ウエブ上で売買活動をコンピューターにさせるための枠組みを活性化したのです。検索エンジンという技術が深く関わっているため“サーチ・エコノミー”という言葉を使う人がいます。「検索経済」、消費者が買いたいものを検索して買い物するのです。

Amazonという本のウエブ販売サイトはあまりにも有名です。今、Amazonは230万点の書籍をウエブに載せているそうです。ベストセラーではなく細々と売れてゆく本が全体の売り上げの8割を占めるという、それを“ロング・テール現象”といいます。

従来の書店販売では売れ筋のベスト・セラーを平積みにして売る。売れない本はすぐ取り次ぎに返本してしまう。それをAmazonはウエブに載せる(書名をリストするだけ)ことで販売コストを限りなく下げ販売点数を限りなく拡大して、これまで書店では絶対実現できなかった少数多種類販売方式を検索エンジンが現実化したのです。

10万部売れたベストセラーの1冊と1冊しか売れない本だが10万冊をリストして売ったAmazonと金額では同じです。これがロング・テールと呼ばれる現象。マーケッティング理論で「パレートの法則」と呼ばれるグラフからイメージされた言葉で、商品全体の2割の売れ筋商品が金額で売り上げの8割を占め、商品の数を多くすればそれは恐竜(売り上げの2割が頭部分に相当)の長い尻尾に見えることから名づけられました。

日経新聞によればGoogleの時価総額は2008年8月時点で1572億ドル(約18兆円)を越えます。Microsoft(MS)が2160億ドル(約30兆円)といいますから、未だMSには及びませんが、アップルとほぼ同額です。eBay(5兆5600億円), Yahoo(4兆3440億円) Amazon(2兆1120億円)といった先発のITベンチャーをはるかに抜いて、いまやITの世界で最後発企業ながらGoogleはMSを急追しています。

Googleが注目されているのは「広告の最適化」でした。売る側としては「買いたい意思のある人」に広告したい。テレビや新聞のようにマス・メディアへの広告の出稿は広告費が高い割りに効果は期待薄です。その広告効果をGoogleは「検索」技術で最適化しました。

アドワーズという検索サービスはキーワードに関連する広告を同じページに載せます。「サーフィン」が好きな人なら「サーフィン」というキーワードが出たページにその関連広告を載せる、という広告方式です。Googleはさらに個人のホームページに広告を配信するアドセンスという広告サービスも投入しました。

2005年の第3四半期のGoogleの売り上げは15億7845万6000ドルだったが、その98.8%までアドワーズとアドセンスの広告が占めていた、と佐々木俊尚著『グーグルGoogle~既存のビジネスを破壊する』(文春新書)は紹介しています。購買者を狙った“ターゲット・アド”でGoogleは大成功しました。まさに最適化された広告こそ究極のアドと言えるでしょう。

2008年09月25日

仙石通泰ブログ31 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」⑤

LAでのシンポジウムの翌日、サンフランシスコへ飛びました。主宰者のジャーナリストが「Googleキャンパスを覗きに行きませんか」という誘いに乗ったのです。新社屋建設のレイアウトが話題になった時、Google Campusは一見の価値がある、というのです。

もちろん誰でもキャンパス内に入れるわけではありません。GoogleはMountain Viewというシリコンバレーのど真ん中に位置する町にあり、ビルだけで10数棟もあります。Amphitheatre Parkwayという通りを走るとGoogleのロゴが張り付いたビルだらけです。

どのドアも電子的にロックされていますからGoogleのスタッフを訪ねる、ということでないと内部に立ち入ることはできません。いま、もっとも革新的、先鋭的と言えるシリコンバレーの中心地に勃興したIT企業Googleのキャンパスはもう驚嘆の連続でした。

24時間、いつ出社しても退社も従業員の勝手です。勤務時間は自由で、従業員個人が決めます。構内20箇所のレストランで1日3食すべてタダ、食べ放題。ドリンクやフルーツはどこにも置いてありもちろん無料です。オフィスは、まるで遊戯場の雰囲気でした。

仕事に飽きたらビーチバレーもできるしフィットネス・ルームに行って体を鍛えてもいい。実際、ビーチバレーで遊んでいた場に創業者のひとりがいました。Googleの創業者はLawrence Larry PageとSergey Brinと言い、二人ともスタンフォード大学の同級生で、1973年の生まれですから35歳と若い。

それがGoogleのキャンパスでした。構内をガイドしてくれたN君は29歳で、200人のグループ・リーダーです。アイビー・リーグの一つ、M大学のコンピューター・サイエンスを卒業してマイクロ・ソフトに入社。シアトルの本社でソフト開発のSEとしてスタートを切ったのですが、2004年Googleに移ったそうです。

N君が入った2004年はGoogleが株式を公開した年でした。本社キャンパスには800人くらい。それが今では1万人(全世界ベースで2万人)。スタッフの80%がPh.D.(哲学博士)か、MBA(経営学修士)取得者だそうです。米国はもとより世界の頭脳が集まっています。

ロシア人、インド人、中国人、韓国人など多人種多様社会ですが、日本人は極端に少ない。正確な数字は企業秘密ですが二桁の下の方。「日本人は英語が話せない人が多いから採用されません。それにソフトの開発能力や技術力のレベルが低いのです」と意外な評価でした。

20代で年収20~30万ドル(2000万~3000万円)がいて、しかも責任の重さによってストック・オプションがあります。Googleの株価は公開時して2年3か月で6倍になったからシリコンバレーの高級住宅地に豪華マンションを買い、自動車はベンツかBMWが多い。

まるでシンデレラ物語の現代版の様相ですが、もちろんGoogleが順風満帆というわけではありません。最近に株価は下がり気味、従業員の食事をタダ、というのを見直す、という記事を見ました。

2008年09月02日

仙石通泰ブログ30 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」④

8月12日、ロサンゼルスで日本語テレビ・JATV主催のシンポジウムに招かれ、Optimization 経営について問題提起する機会を得ました。ロスには昨年2度行き、現地の日本企業経営者やビジネスマンらと議論したことは本Blogの冒頭に書きました。今回はシンポジウム形式で私が基調報告を行い、パネリストと参加者が議論しました。

ロスの日系ビジネス社会は、お盆前の夏季休暇ムード一色でしたが、にもかかわらず50名の経営者やビジネスマン、政府関係者らが集まり活発な討論となりました。パネリストに私とロナルド・モース博士(三技協取締役)、アーバインでソフト開発をしている山口裕久氏の3人で、Optimization というコンセプトとその可能性についてそれぞれの見解を述べました。

すでに何度も書いてきたとおり、これからの経営、取り分けグローバル化が進行している国際経済社会で企業がサバイバルしてゆくには「知の共有」による部分最適と「個人知」を「集団知」に蓄積し、「見える化」を図ることで、全体最適を促進してゆくことがキイワードであることをDVDとパワーポイントで説明しました。

社員一人ひとりの多機能化についても例をだして説明しました。会社の文書、内部情報伝達、研修、経理処理、問題発生の現場報告、その処理方法、自己研鑽の方法や結果などをすべてウエブに載せ、従業員なら誰でもアクセスできるようにしたのがCM(Cyber Manual)であることは既述しました。そしてこのCMとPBT(Performance Break Through)を使って、問題提起→問題の解析→再設計による最適化提案へ社員自身が取り組みます。

モース博士や山口さんは私のOptimization 経営について、それを理論化して普遍的な経営論となる可能性について具体的に指摘してくれました。私の問題提起とパネリストのコメントが終わると後半は会場の参加者との質疑応答です。

やはり集中した質問は「Optimization 経営は分かったが、実際にそれを導入すると従業員の中にはついてゆけない者がでてくるでしょう。組織は分裂してしまわないか。社員の反発は無かったのか」という点です。私は「反発はあったし、辞めてゆく者もいました。それは会社の体質を変えてゆくとき、避けることができない問題です。しかし反抗勢力にはPositiveな反抗とNegativeな反抗があると思います、企業では先者は大切にしなければなりません。そこにOptimization 経営の意味があるのです」と応えた。

さらに質問が出たのは「暗黙知」のOptimization化です。例えば職人的な技は、言葉で説明するのは難しいし、まして「見える化」は至難です。高度の技は職人の長い経験から身についた個人の人格内部に備わるもので、それを他人に見えるようにすることができません。

私はその指摘をもっともだと思います。私が強調している「集団知による見える化」とは業務の80%でよしとして、100%ではありません。職人的な洗練された技を要する部分は高度な技を持っている人に任せれば良いのであって、全部、「見える化」を実現できなくてもいいではありませんか。しかし個人の内側に在る感情や芸術的表現などは移転できませんが、技術の殆どが「見える化」が実現できます。このようにOptimization 経営を進めることは、非常に現実的なことなのです。

*画像は、LAで出演させて頂いた「ブリッジUSAラジオステーション-加賀崎 雅子の「ニュースまったなし!」での収録シーンです。加賀崎さんには今回のシンポジウムの話題も放送して頂き、その番組を聞かれて御来場頂いた方もいらっしゃいました。

仙石通泰ブログ29 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」③

残暑お見舞い申し上げます。 関東地方は、7月に入って真夏日が長く続き、取り分け暑い月でした。このBlogを書いております9月に入りまして、ようやく暑い日差しの日となりましたが、8月半ばからは今までと異なり、豪雨を伴う異常な気象現象が続きました。私達 経営者には、学生のような夏休みは難しいのですが、子供達には楽しみな夏に災禍が続いたことに心が痛みます。

本Blogが夏休み状態になっていたことをお詫びします。前回(28回)、中国の精華大学、華東師範大学と日本危機管理学会の共催で開かれた日中交流セミナー「組織運営と危機管理」でOptimization 経営について報告したことを書きました。

ちょうど四川省大地震が発生した直後に北京空港に着陸し、中国は非常事態でした。テーマからしてまさに時宜を得たセミナーとなり、生々しい被害の状況が話題となり、危機管理をめぐって中国政府の対応などが期せずして論議されたことは前回、書きました。

中国という国について考えます。史上最多の204カ国・地域の選手・役員1万6000人が参加した第29回近代オリンピック夏季大会が8月8日から24日の閉会式まで北京で開かれました。17日間のスポーツの祭典、世界のアスリートたちがスピードと技と美と体力を競いました。国家体育場で開かれた開会式、閉会式とも豪華、多彩な演出で華やかに彩られました。

心配されたテロも無く、国家の威信を賭けた北京五輪は大成功と言えるでしょう。チベット問題やデモ抑圧など自由と人権をめぐる政治に対する批判はありましたが、これは本Blogの趣旨に逸れそうなので別の機会に述べたいと思います。

大会で中国が獲得した金メダルは51個と五輪史上、最も多く、アメリカの36個をしのいで世界一となりました。政治大国であった中国が経済発展し、スポーツ大国となった現実は中国という国の変貌を物語る上で重要ではないかと考えます。

興奮の余波は覚めやらず、北京大会の成功で中国は自信を深め、さらなる発展に邁進するでしょう。世界は中国の動向に目が離せなくなっています。そして日本やアメリカと中国との経済関係はさらに緊密化するでしょう。チャイナ・パワーを実感した大会でした。

なにしろ中国文明は3000年余の歴史を有し、人口は13億人を超える世界最大の国です。日本との関係で言えば近代中国革命の父と呼ばれる孫文や文学者・魯迅は内乱期に日本へ亡命していたことがあります。毛沢東の共産革命の指導者、周恩来も日本に留学していました。

日本は古代から中国文明の影響を受け、近代日本になって不幸な戦争の歴史がありましたが、どの国よりも長く緊密な関係を続けてきたのです。その中国がいま、大きく変貌を遂げようとしています。その歴史のターニング・ポイントが今回の北京五輪ではなかったか、と考えています。

政治的にはいろいろ解決を迫られる問題を抱えながら中国もまたOptimization (最適化)を真剣に模索する時期を迎えています。危機管理セミナーで報告した私のOptimization 経営の理論と実践に、これまでのどのセミナーよりも真剣なまなざしと熱意を感じたことを改めて強調しておきます。

北京や上海の変貌を眺め、中国という大国を考えると遠くに巨大な地鳴りを聞くような、歴史の変化の響きを実感します。それは文明が飛躍する瞬間なのではないか、と私は考えてみました。

*画像は5月に訪れた北京国家体育場(鳥の巣)です。当時、周辺部の土木工事等はまだまだの状態でしたが、一ヶ月半後には正式に竣工しています。

2008年06月09日

仙石通泰ブログ28 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」②

北京・上海での「日中危機管理学術交流セミナー」開催時に、四川省大地震が発生することは予測するはずもありません。しかし、お伝えしなければならない事を携えてきた私は、プレゼンテーションにも力が入りました。

当然、質疑では四川大地震の進行中の救援活動に対する評価も議論の対象となりました。北京・精華大学のセミナーで、ある中国人の先生が初期救援体制について、「まず空軍が航空機を出動させ、空から被害の全容を観察すべきでした」といった批判を述べられたことはちょっとした驚きでした。

中国の最高学府の教授が政府の対応を批判したのです。以前の中国では考えられないことです。しかも私の知人の中国人が「政府批判をやると受けるのです。ですから正統な批判か、受けるための批判か、よく考える必要があります」と囁いたのが印象に残っています。

今回の中国のセミナーを通して見た私の観察は、やはり中国は急激に変化してきているな、というのが偽らざる実感です。経済の急成長が注目されていますが、中国社会が経済発展と同時に情報公開やIT革命への対処など大きく変貌を遂げようとしているのです。

ただ誤解していけないのは巨大な中国を日本と同レベルで考え、評価することです。今回の大地震は四川省を中心に広大に被害が広がりました。震源地の汶川県映秀鎮という村は人口1万人、死者7700人と伝えられています。村人口の8割近くが犠牲となりました。

マグニチュード「8」に修正された大地震の余震が782回(発生日から5月22日までの10日間)で、マグニチュード「5」以上の地震が27回。死者・行方不明者は8万6954人、負傷者37万4031人、家屋倒壊21万6954棟、被災者類計は4616万0865人(6月初め現在)という途方もない数です。

中国は14カ国と国境を接し、国境の総延長2万4000キロメートル、そのうち2000キロほど国境が不確定です。13億人の人口は世界最大、55の少数民族だけで1億2000万人いるそうです。未だ古来の生活様式を守る奥地の少数民族と世界の最先端を行く高度技術、上海の高層ビル群との落差はわれわれ日本人の想像を超えます。

しかしセミナーでの中国人研究者は私がこれまでに参加したどのセミナーや講演会のどれよりも真剣で、プレゼンテーションのスクリーンを凝視している姿は緊張感にあふれていました。私の話を陳潔華先生(華東師範大学教授、リスクマネジメント研究)が流暢な日本語で通訳してくださり、コミュニケーションにはなんの支障もありませんでした。