私が招かれたロサンゼルスの昼食会は日本語テレビ番組を制作、放送しているジャーナリストのK氏が主宰、毎月、例会を開いていてすでに10年になるそうです。昼食を食べながらLAの日本人同士の情報交換と交流を兼ねた気楽な集まりで、外交官や政治家、大学教授、新聞社・テレビ局の特派員、作家、法律家らオピニオン・リーダーが時宜を得た話題を提供して、相互に議論してきました。
ゲスト・スピーカーとして私は「経営の最適化を考えるOptimization」について話す機会を与えられたことは幸いでした。でもお会いする方々は初めての人ばかりです。三技協についても、また「Optimization 経営」についてもほとんどご存じない方ばかりです。
そこで、まず三技協で制作した10分ほどのビデオを見ていただきました。このビデオは「Optimization Company」を自認する三技協という会社、「なぜ今、Optimization なのか」を分かりやすくまとめてあり、私の考えと三技協の実践を説明したものです。
三技協は情報通信のインフラ構築、メンテナンス、情報通信機器の製造、販売をビジネスとする会社で、この10数年、携帯電話の急激な普及で急成長しました。携帯電話会社は基地局をどんどん新設してゆくので、そうした工事の受注が増え、ほんとうに忙しかった。
もちろん市場が拡大している時は売り上げも急伸します。わが社は市場ニーズに受身で、黙々と仕事をこなしてゆけば良かった。受注した基地局の建設、技術サービスをきちんとやれば売り上げは上がり、順調に利益もでました。時代の波に乗って増収増益が見込めたのです。
ところが1990年も後半に入るとモバイル電話業界に変化が起きました。インフラが整い始めてくると、新規発注の仕事が急に減ってきました。そして受注できる業務内容はメンテナンスや調整作業に集中して、大きな予算の新規建設がありません。当然のように売り上げが落ちてきました。でも増やした人員は簡単に減らせません。
1999年、ついに赤字転落となりました。そこで「減収増益」ができないか。そんなことが簡単にできない、大変、難しいことは分かっています。しかしそれができないと会社に明日はありません。ここで私は収益構造を変えなければダメだ、と考えてみたのです。
技術サービスというビジネスの性格から経費の大半を占めるのは技術者の人件費です。サービスの質を落とさないためには技術者の人員を減らすことは罷りなりません。とすれば現場の作業効率を上げるために何ができるか。そこで私は現場の作業内容を細かく分析してみました。技術にはいろんな段階があります。
入社早々の若い社員は当然、技術力がありません。彼らは社の先輩である上級者から仕事を学び、少しずつ向上してゆきます。教育、研修、訓練、実施というプロセスを経て、初めてサービスの対価としての売り上げを上げることができる。例えば基地局のアンテナの柱を立てるときのボルトとナットを締める、という簡単な作業一つとっても先輩から教えてもらうことになります。
そこで作業内容を誰にでも「見える」ように可視化を考えたのです。これを私は分かりやすく「見える化」と名づけました。経営も管理も作業現場も社員全員がどんな作業も「見える」ようにしよう。そうすれば初級の技術しかない者でも簡単に自分自身で技術を磨くことができるようになるはずです。
そこで「技術マニュアル」をwebに載せる、Cyber Manual化を考えてみたのです。これがわが社・三技協の誇る「CM(Cyber Manual)」です。これを完成させるのにほぼ約3年かかりました。と言っても今もなお未完成で日々、改良、改善を現場で加えています。
これは「個の知識」を「集団で共有化」しようという試みです。CMに載せたFile(文書)は10,000ページに上りました。しかもこのCMに社員が誰でもいつでもどこからでも簡単に書き込めるようにしたのです。このCMがOptimization Companyのスタートとなりました。
