About 2007年10月

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2007年10月01日

経営の最適化を考えるOptimization着想の源流⑤

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会社を経営するということの意味は、事業活動を通じて収益をあげること、儲けることだ、と考えている人が多いと思います。しかし実際に経営の立場に身を置いてみると企業は「儲ける」ことだけでは成り立たないことをひしひしと感じます。

ビジネスを円滑に効率よく進めるには会社を取り巻くビジネス環境~①Client(顧客)②Stock Holder(株主)③Employee(従業員)④Director(役員)⑤Community(地域社会)といった、いろんな立場の人々のことを考えねばなりません。そしてより質の高い、効率の良い作業環境を整えることが直接、間接に収益構造に関連してくるのです。

仕事の「見える化」をはかることで、作業現場を鳥瞰図的に見たり、あるいは作業手順を断面図として観察することができれば現場の問題点を抽出したり、各レベルの技術と知識を共有することができるようになります。そうすれば技術力の無い者も自分の技術をレベルアップすることができる。自己鍛錬が可能になるでしょう。

技術力のあるベテランは新人や後輩の教育、訓練に投じる時間を少なくすることができるようになります。そしてベテラン自身も自分の技術をさらにBlush upできる、他の技術を学び複数、受け持つことが可能になってゆきます。社員一人ひとりの多機能化です。

経営の最適化―Optimization Managementとはこうした発想で生まれました。なぜ、1999年に、三技協は赤字となったのか。まず、第一に「現状分析」して問題点を正確に把握する→次にその問題点を分析、検討する→そして業務内容の改善、向上をめざして仕事の手順や職場環境の再設計をするのです。

作業手順の見直しで問題点を発見、解決策をみんなで考え話し合う。何が作業の障壁となっているのか。問題点は何か。それをMeeting で具体的に出し合い、議論し、解析します。解決方法が見つかれば従来のやり方を変え、作業環境を改善することで作業効率を上げることができます。それを三技協ではPerformance Breakthrough(PBT)と呼んでいます。

PBTは三技協社内で自己開発し進化させた経営ノウハウですが、その基本にKnowledge Management(KM)があります。経営における「KM」とは従業員一人ひとりが持っている「知」の共有、「個人知」を「集団知」とする、という経営手法です。今から10年近く前にアメリカで注目され、日本の産業界に導入されました。

従業員個人個人が持っている技術ノウハウや情報を「組織全体の知識・情報・ノウハウ」としてゆこう、というコンセプトです。その個人が持っている知識や情報は単なる数字やデータといったものだけでなく、仕事上必要な技能や経験から積み重ねた作業ノウハウ、人間の勘まで、いわゆる暗黙知も含み、それを「見える化」することで作業効率を向上させてゆこうと考えたのです。

どんな会社でも業務内容は多義にわたります。総務・経理といった管理部門から営業、作業現場(工場)など持ち場によって発生する問題が違います。各部門の情報や知識、経験知を蓄積してマニュアル化してゆく。それがOptimization Companyの出発点となりました。

そこで私は社内の業務内容を5つの部門に分析してみました。経営的視点で会社全体の戦略を考える参謀本部的部署を「経営工房」とし、市場情報を収集、顧客と接し、市場動向を分析する営業部門を「市場工房」と名づけました。先端技術の情報収集や技術動向、そして最先端技術の導入、社員教育、現場研修は「技術工房」です。

実際の作業現場は「オペレーション工房」、製造業では生産工場にあたります。企業経営のために必要な管理部門を「厨房」と呼んでいます。そこで各工房毎に業務を「見える」ようにして、それを社内ウエブに載せ、Cyber Manual(CM)としました。社員なら誰でもどこでもいつでもCyber Manualを見ることができるようにウエブを進化させました。

そこではっきり効果があったことは、社員全員が会社の仕事の内容やノウハウを共有でき→社員が自分の担当以外の業務が理解できるようになり→仕事の多機能化を果たせるようになった→それが人件費の削減、技術研修期間の短縮、スピードアップとなり、社内業務全体の効率化、向上化を促進したということです。

売り上げは減っても利益は増えた。減収増益を実現することができたのです。2007年現在の試算ではOptimization 経営を導入した2001年に比べて6年間に収益で35倍となりました。もっとも2001年の時点で三技協の利益は小さい数字でしたから35倍という収益増はそれほど驚くに値しないかも知れません。

Cyber Manualの三技協における実際の運用は具体的に社内業務の改善と効率化に驚くべき効果を発揮したことは次号で明らかにします。


2007年10月09日

経営の最適化を考えるOptimization着想の源流⑥

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私はこれまでわが三技協という企業をOptimization Companyとして位置づけてきた基本的コンセプトについて話してきました。それは「個の知」を「集団知」に転換することであり、具体的には「見える化」を進めることが必要条件である、と言いました。

社員が個々に持っている経験知を会社全体のものにすることで仕事の質量ともに向上を図ることが可能になる。それは会社が持っている見えざる資産、英知の共有化です。例えば海外における工事の現場ということを想定してみてください。

日本ではなかなか海外の現地事情を理解するのは難しい。ところが現地に派遣された技術者が自分の体験をウエブに載せる。すると本社でも現地の事情や問題点、解決方法がよく分かります。現場で個人が体験するノウハウの蓄積と全社の共有化です。

写真を積極的に活用することで見える化をさらに促進できます。こうして情報を視覚的に共有することで業務のプロセスをはっきりさせることができますし、トラブルを未然に防ぐことができるようになりました。

工事現場における工具の選定とか材料の指定をウエブに載せることで、初心者も容易に分かるようになります。言ってみれば簡単なことですが、実際に導入するとなりますと結構、抵抗があります。Optimization経営を導入してみて良かったことを例示してみましょう。

従業員や従業員の近しい身内に不幸があった場合、皆さんの会社ではどうしていますか。多くの会社では総務があたふたと葬儀社に電話をかけ、葬儀のやり方を聞き、必要な事項を依頼、手配し、社内に告知します。ほとんどプロである葬儀社の言うがままとなります。

確かに従業員やその身内の不幸は日常、度々、起きることではありませんから多くの会社は緊急事態として葬儀社任せになってしまいます。ところが三技協では一度、従業員や身内の葬儀を経験するとその際、得た情報や手筈をファイル化してウエブに載せます。

それだけで次にそうした事態が起きても、いつ何時でも、どの部署の者でも社内のウエブにアクセスし、葬儀で必要事項などをファイルで確認し、間違いなく即座に手配することができるのです。そこでは総務の仕事はほとんど必要でなくなります。

三技協では社員の厚生をかねて毎年8月、横浜港で行われる夏の花火大会を全社で楽しむ「サンフェスタ」と呼んでいる花火パーティをホテルの1フロアを借り切って開いています。日ごろお世話になっている顧客会社や個人なども招待しています。

従業員とその家族が約600人、招待客を含めると総勢1000人となる大パーティです。大阪、札幌、福島、博多など全国6箇所をインターネットで繋いで、各会場で食事はもちろんエンターテイメントやビンゴ・ゲームで楽しい一夜です。ことしも8月1日、横浜グランドインターコンチネンタル・ホテルで開き、松沢成文神奈川県知事夫妻も来てくださいました。

この「サンフェスタ」を準備するのはイベント業者でも社内プロジェクトでもありません。担当者は若い社員、たった一人です。それでいてフェスタの内容は年々、充実してきました。ことしは中国の仮面早変わり舞踊の公演があり好評でした。

恐らくこのフェスタをイベント業者に頼んだら委託料だけで100~150万円を軽くオーバーするでしょう。なぜ、たった一人で準備ができたのか。それがOptimization Companyの所以です。担当者はウエブに載っているフェスタのページを見れば一目瞭然と仕事の手順、手筈がわかり、自分のアイディアを加味して準備するだけで大パーティの企画を進めることができたのです。

2007年10月15日

経営の最適化を考えるOptimization着想の源流⑦

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これまで述べてきました三技協におけるOptimization 経営の実践は、もちろん紆余曲折がありました。

私自身、試行錯誤の連続で、これといった決め手とか理論があったわけではありません。もう10年以上になりますか。アメリカでKnowledge Managementという言葉が新しい経営法として注目されました。耳にした方も多いと思います。

Knowledgeは言うまでも無く「知識」とか「熟知」という意味の英語です。Knowledge Managementの基本は、知識やノウハウを共有することで会社の持続的発展と創造性を育んでゆこうというものです。従業員が有するSkillを知的資産としてとらえ、それを全社の共通のKnowledgeとすることの重要性に多くの経営者が気づきました。

Skillは「熟練」であり「技能」であり、「能力」です。社員が持っている熟練の能力はその会社の知的資産なのです。かつて通産官僚から作家となり、経済企画庁長官をやった堺屋太一氏が21世紀を「知価社会」という言葉で表現しました。まさにKnowledge Managementはその知価を共有して、最適の経営をめざすものでした。

Optimization 経営はそのKnowledge Managementを土台として考えてきました。 21世紀におけるどの業でも悩みは全体最適と部分最適の調和です。Optimization 経営こそ、これからのグローバル時代の経営手法として有効だと私は確信しています。

この考え方を機会があるごとに世界中の日本企業の経営者に披露して来ました。そのつど、熱心な多くの質問とコメントが寄せられました。それらはおしなべて、非常に斬新な実践で面白いと思うが、それが今、即企業の経営に役立つかどうかはかなり検討を要するのではないか」というものでした。「確かに三技協では実現できた最適化経営かも知れませんね。それは大変すばらしいと思いますが、それが普遍的なものとしていろんな企業で導入可能なのかどうかは疑問です。一般に認知されるにはまだまだ研究が必要ではないですか」という指摘がありました。私も最もだと同意します。

そこで理解を深めるためにちょっと話を逸らせます。私はこの10月17日、Optimization 経営のコンセプトとその創造と変遷過程を1冊の本としてまとめ出版いたします。『社員の「1行報告」が会社を変える』というタイトルで、かんき出版から上梓したのです。23日頃には町の書店に並ぶでしょう。もちろんアマゾン・サイトでも購入できます。

この本は私の処女出版となりますが、「経営の最適化を考えるOptimization」という概念を分かりやすく解説した本です。もっとも私自身、理論の体系化が完成しているわけではありません。従ってこの本も暗中模索の結果を問う、といった内容といえるかも知れません。自分で書きながら納得できないことも少なくなかったのですが、ひとつの試金石と考え、出版に踏み切りました

2007年10月22日

経営の最適化を考えるOptimization着想の源流⑧

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出版された『社員の「1行報告」が会社を変える』(かんき出版)が世に受け入れられるかどうか未だ不明ですが、三技協で実現できたウエブによる情報管理やSkill, Knowledgeの共有化で2007年5月期決算は営業利益がCyber Manual導入時の35倍を実現できたのです。

正直に白状しますともともとOptimization 経営ということを考えた発想の源流は三技協の売り上げが年々、下降し、営業利益も落ち込んで赤字体質となっていたことに対する危機感でした。私が副社長となった1991年には3億4000万円の経常損失に転落しました。それでも古い役員は従来型を踏襲すればいいという安易な態度で、危機意識は希薄、鈍感でした。

あらゆる分野でデジタル化が進行し、通信技術の飛躍的進歩に対応してゆくには従来型の思考法ではダメだということが分かっているのですが、残念ながら社員の意識をどう変えてゆくか、大変難しい課題で悩みました。前にも書きましたが、企業経営で怖いのは「赤字」ではなくて「赤字を生む体質」なのです。

会社が赤字体質ではいくらみんなが頑張っても赤字は払拭できません。赤字体質からの脱却とはどうすればいいのか。真剣に考えました。当時、三技協グループ全体で700人の社員がいました。家族を含めると1000数百人の生活がかかっています。会社が倒産すれば社員は路頭に迷います。経営者なら誰でもぶつかる恐怖です。

しかし一言、「社員の意識を変える」と言ってみてもそれは容易ではありません。大変なことです。人間は自分のやっていることをすぐ変えることができません。仕事のやり方を変えるために発想を変えてみろ、と言ってもそれは難しい。ですから『社員の「1行報告」が会社を変える』というタイトルは「社員の『1行報告』が社員を変える」と言ってもいいかも知れません。

言うまでも無く通信の世界では革命的とも言うべき変化が90年代に進行しました。携帯電話のめざましい普及です。しかも通信の世界で規制緩和が同時進行しましたから電電公社の民営化(NTTという民間会社に変身した)と新しいベンチャー型の通信会社がつぎつぎと勃興、その会社同士が激しい競争を始めました。

三技協は通信インフラの構築、最適化、メンテナンスを受注するビジネスが中心です。この通信業界激変の荒波に直撃されました。携帯電話が普及するためには中継するアンテナと基地局を建て、そのアンテナから発する電波が携帯電話によく届くように現地で実験し、アンテナの位置や高さ、角度などを調整します。それが最適化という仕事です。新しくアンテナや基地局を建てる仕事を受注すれば当然、人手が要ります。新規に社員を採用して教育します。

その時は売り上げも上がりますから経営も上向きます。ところが携帯電話のためのインフラ構築がやがて飽和状態になってくると途端に受注は減ってきます。2001年とはそういう時代でした。社員は増やした。機材も設備投資もしたけど受注は減ってゆく。これでは赤字体質となるのは自然の理でした。

さて、そこからどう脱出して健全経営にしてゆくか。ここで「経営のOptimization」という発想が浮上するのです。社員に夢を与えられない経営者は失格です。社員に楽しく仕事をしてもらうには何をすればいいのか。私は考えに考えました。