経営の最適化を考えるOptimization着想の源流⑤
会社を経営するということの意味は、事業活動を通じて収益をあげること、儲けることだ、と考えている人が多いと思います。しかし実際に経営の立場に身を置いてみると企業は「儲ける」ことだけでは成り立たないことをひしひしと感じます。
ビジネスを円滑に効率よく進めるには会社を取り巻くビジネス環境~①Client(顧客)②Stock Holder(株主)③Employee(従業員)④Director(役員)⑤Community(地域社会)といった、いろんな立場の人々のことを考えねばなりません。そしてより質の高い、効率の良い作業環境を整えることが直接、間接に収益構造に関連してくるのです。
仕事の「見える化」をはかることで、作業現場を鳥瞰図的に見たり、あるいは作業手順を断面図として観察することができれば現場の問題点を抽出したり、各レベルの技術と知識を共有することができるようになります。そうすれば技術力の無い者も自分の技術をレベルアップすることができる。自己鍛錬が可能になるでしょう。
技術力のあるベテランは新人や後輩の教育、訓練に投じる時間を少なくすることができるようになります。そしてベテラン自身も自分の技術をさらにBlush upできる、他の技術を学び複数、受け持つことが可能になってゆきます。社員一人ひとりの多機能化です。
経営の最適化―Optimization Managementとはこうした発想で生まれました。なぜ、1999年に、三技協は赤字となったのか。まず、第一に「現状分析」して問題点を正確に把握する→次にその問題点を分析、検討する→そして業務内容の改善、向上をめざして仕事の手順や職場環境の再設計をするのです。
作業手順の見直しで問題点を発見、解決策をみんなで考え話し合う。何が作業の障壁となっているのか。問題点は何か。それをMeeting で具体的に出し合い、議論し、解析します。解決方法が見つかれば従来のやり方を変え、作業環境を改善することで作業効率を上げることができます。それを三技協ではPerformance Breakthrough(PBT)と呼んでいます。
PBTは三技協社内で自己開発し進化させた経営ノウハウですが、その基本にKnowledge Management(KM)があります。経営における「KM」とは従業員一人ひとりが持っている「知」の共有、「個人知」を「集団知」とする、という経営手法です。今から10年近く前にアメリカで注目され、日本の産業界に導入されました。
従業員個人個人が持っている技術ノウハウや情報を「組織全体の知識・情報・ノウハウ」としてゆこう、というコンセプトです。その個人が持っている知識や情報は単なる数字やデータといったものだけでなく、仕事上必要な技能や経験から積み重ねた作業ノウハウ、人間の勘まで、いわゆる暗黙知も含み、それを「見える化」することで作業効率を向上させてゆこうと考えたのです。
どんな会社でも業務内容は多義にわたります。総務・経理といった管理部門から営業、作業現場(工場)など持ち場によって発生する問題が違います。各部門の情報や知識、経験知を蓄積してマニュアル化してゆく。それがOptimization Companyの出発点となりました。
そこで私は社内の業務内容を5つの部門に分析してみました。経営的視点で会社全体の戦略を考える参謀本部的部署を「経営工房」とし、市場情報を収集、顧客と接し、市場動向を分析する営業部門を「市場工房」と名づけました。先端技術の情報収集や技術動向、そして最先端技術の導入、社員教育、現場研修は「技術工房」です。
実際の作業現場は「オペレーション工房」、製造業では生産工場にあたります。企業経営のために必要な管理部門を「厨房」と呼んでいます。そこで各工房毎に業務を「見える」ようにして、それを社内ウエブに載せ、Cyber Manual(CM)としました。社員なら誰でもどこでもいつでもCyber Manualを見ることができるようにウエブを進化させました。
そこではっきり効果があったことは、社員全員が会社の仕事の内容やノウハウを共有でき→社員が自分の担当以外の業務が理解できるようになり→仕事の多機能化を果たせるようになった→それが人件費の削減、技術研修期間の短縮、スピードアップとなり、社内業務全体の効率化、向上化を促進したということです。
売り上げは減っても利益は増えた。減収増益を実現することができたのです。2007年現在の試算ではOptimization 経営を導入した2001年に比べて6年間に収益で35倍となりました。もっとも2001年の時点で三技協の利益は小さい数字でしたから35倍という収益増はそれほど驚くに値しないかも知れません。
Cyber Manualの三技協における実際の運用は具体的に社内業務の改善と効率化に驚くべき効果を発揮したことは次号で明らかにします。

