10月下旬に発売された『社員の「1行報告」が会社を変える』(かんき出版)が発売わずか2週間で再版となりました。横浜の有隣堂でベストセラー第二位となったことは前号の本欄で書いたとおりです。初めての出版という経験だけに感慨深いものがあります。
そして多くの方々から本を読んだ感想が手紙やe-mailで寄せられました。旧知の方々はもちろんですが、未知の方からも率直な感想をいただきました。その大半が、私が本書で強調しています「経営の見える化」について強い賛意、支持を表してくださいました。
このところ続いている企業の非行、スキャンダルが連日のようにマスコミを賑わせています。食品の原料表示を偽ったり、賞味期限を改竄したりして、それが報道されると決まって役員が記者会見で深々と頭を下げて謝罪する光景が日常茶飯事となっています。
しかも最近、目立つのは世間の信用が寄せられてきた老舗や名門企業で不祥事が次々と起きていることです。社員と経営者の間に「知識や情報の共有」ができていない結果が招いた事態ではないか。「経営の見える化」ができていないからだと思います。
私の本を読んだ方のメールに「これらの会社が『サイバーマニュアル』だけでも採用していたらこのような無様な事件は起こらなかったでしょう。起こりえなかったと言っても言い過ぎではないと思います」と書いてくださった方がいます。
また、本書を紹介する文章に「組織内の情報が共有されないことは企業生命にかかわる結果を招きます」「歴史のある大組織ほど過去の成功体験が染み付いていて、次の世代を左右するコンピューター活用が進んでいません」とありました。まさに正鵠を射た指摘です。
どんな経営者も私と同じように大きな壁にぶつかり、いろんな局面で悩み、模索していると思います。破局が来る前にその問題点を探り出し、企業内部に巣食う癌の病巣を切り落とす大手術をしなければなりません。それこそ本書で書いてきましたPBTなのです。
会社が抱える問題の所在を探し当て、解決策を「社員が見えるところ」で一緒に考える。現場が直面した問題を「1行の報告」としてサイバーマニュアルに載せることで、危機回避の具体的な方途が提案されるはずです。社員の声、視点が危機を発見し通報するのです。
今回の出版が多くの経営者の「見える化」の一助になればこんな嬉しいことはありません。一貫して「見える化」を実践してきた者として自戒をこめて記事を読んでいます。
