About 2007年12月

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2007年12月 アーカイブ

2007年12月05日

No13 経営の最適化を考えるOptimization 「部分最適」と「全体最適」②

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言うまでもなく企業とは生産活動とか流通、販売、あるいはサービスを提供して対価を得る生態系を成す組織体ですが、実際に仕事を進めるのは一人一人の人間です。個々の社員が楽しく、誇りを持って仕事ができる環境を追求することは経営者の大いなる義務であり責任です。

会社は生きています。経営の最適化~Optimization とは単に業務の効率化を追求するということではありません。個々の業務や現場の作業をwebに載せ、IT技術を駆使してCyber Manual(CM)とすることで、全体が“見える”ようにすべきことは繰り返し述べてきました。

三技協では構想から5年、実際に社内業務や作業手順、技術ノウハウをウエブに載せ、社内文書を削減していった作業丸3年かかりました。CMのページが10000ファイル以上に上ったことは既述しましたが、ウエブ化の過程は「部分最適」の積み上げでした。

一つの業務についてウエブに載せるためCyber Manual(CM)制作の担当者はいろいろ試行錯誤を繰り返しましたが、同時に厚い壁となって立ちはだかったのは社内の旧主派でした。私は“抵抗勢力”と呼んでいますが、人間、慣れないことには何かと理由をつけて抵抗します。

でも21世紀の経営はIT技術をトコトン取り入れ業務を見える化し、社員一人一人が経験を積み重ねて会得した「個人知」を会社全体の「全体知」として共有できたとき、初めてOptimization 経営の理念が企業活動の改善に貢献し、利益を押し上げるパワーとなります。

Optimization 経営の実践を通して私はこの考えこそ、今後の企業のあり方を象徴するはずです。「部分最適」に改善を加え「全体最適」として統合、理論化することは、大げさに聞こえるかもしれませんが社会革新の礎になるはずだと考え始めました。

その実践の場は日本より、海外でがんばっている日本の企業ではないか、と思いました。本Blogの冒頭に書きましたNew YorkやLos Angelesでの講演は、こうした私の発想を行動に移したものです。New Yorkで1回、Los Angelesで3回、フォーラムを行ないました。

そしてIT革命の聖地と言われるSilicon Valleyにも乗り込んでいきました。その途中、友人であるアメリカ人の紹介で立ち寄ったUCI(カリフォルニア大学アーバイン校)のビジネススクールで、二人のComputer Scienceの専門家に出会うことができました。それは大いなる邂逅でした。

2007年12月11日

No14 経営の最適化を考えるOptimization 「部分最適」と「全体最適」③

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カリフォルニア大学(UC Systems)の本部はSan Franciscoの対岸、Berkeleyにあり、11のキャンパスで20万9000人の学生を擁する全米一の名門マンモス大学です。創立は1868年(明治元年)、カリフォルニアで砂金が発見されて20年後にはUCの礎ができていたのです。同窓会のメンバーが134万人といいますから凄いと思いませんか。

Los Angelesからフリーウエイ5号線を1時間ほど南下したところにIrvine、Costa Mesa, Newport Beach, Tustinといったアメリカの富を象徴するような美しい町があります。昔はオレンジ果樹園やストローベリー畑だった土地を開発してこの30年間に急成長した新興都市群でITやバイオの最先端技術が集積していることで知られています。

UC Irvine School(UCI)はUC Systemsの中でも比較的新しい大学(1965年設立)で、最大規模のLos Angeles(UCLA)、 本部のあるBerkeley(Cal)San Diego(UCSD)に次いでUC第4位、学生の半分以上をアジア系で占め、日本人留学生もたくさん学んでいます。キャンパスを眺めているとアメリカの大学とは思われないようなアジアの雰囲気です。

UCIを訪問できたのは三技協の社外取締役、Ronald Morse・Nevada大学教授の紹介でした。Morse教授は柳田國男の『遠野物語』の英訳をされた日本研究者で流暢な日本語を話します。私は2007年7月18日、Morse先生らとUCIの大学院に、Business & Computer Science学科のVijay Gurbaxani教授とVidyanand Choudhary助教授を訪ねました。

お二人とも著名な情報工学の第一人者です。とりわけIT技術と経営戦略との関わりを研究している経営管理学が専門で、まさに私がお会いしたかったプロフェッショナルです。私はお二人を前にOptimization 経営の理念と実践について率直に話しました。

なんとかして仕事の効率を高めることで赤字体質から脱却しようというのが発想の原点で、IT技術を使ってCyber Manualを作りました。それを年々、自社努力を続け改善していったら「要するにこれはIT技術を駆使した経営のプラットフォームではないか」と気づいたのです。

30分ほど熱心に私の話を聞いてくださったお二人はこれまで話した誰よりも鋭く反応してコメントくださったのです。Optimization 経営の理論化を模索していた私には“目からウロコ”の思いでした。

2007年12月19日

No15 経営の最適化を考えるOptimization 「部分最適」と「全体最適」④


UC Irvine(UCI)のキャンパスは広大、眩しすぎる陽光がいっぱいです。カリフォルニアは砂漠性気候ですから大気が乾いて快い。訪問先は”The Poul Merage School of Business”
という名の経営大学院、アメリカで大学院や研究所に研究機関を設立した碩学や貢献者の氏名を冠とすることがよくあります。

Morse先生が友人の学者の紹介でアポイントを取ってくださいました。これからの経営はハード、ソフト含めてコンピューターをいかに取り入れてゆくべきか。コンピューターを駆使した経営戦略を研究している、という学究がVijay Gurbaxani教授とVidyanand Choudhary助教授でした。「ビジェイ・ガーバカザニィ」と「ビジャナンド・チョーダリー」と発音するそうです。

お二人ともインド系アメリカ人とお見受けしました。既述しましたようにIT革命のメッカと言われるシリコンバレーは「Another IC」に支えられている。日本語で言えば「もう一つのIC(India & China)」というわけ。アメリカの最先端ITの研究開発やコンピューター産業は中国系とインド系の人々の頭脳無くして成り立たなくなっているのです。

ガーバカザニィ教授はロチェスター大学でPH.D.(博士号)を取得されました。UCIのウエブサイトに先生のホームページが公開されていますから興味のある方は、ウエブを覗いてみてください。チョーダリー助教授はコンピューターのハードに強い関心をもたれていました。私にとってはお二人にお会いできたことはまさに「僥倖」そのものでした。

講義の合間に時間を取ってくださったので時間がありません。私の話を聞いてくださり、いろいろ質問をやりとりしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいました。面会時間は40分か50分くらいだったと思います。そして次のようにコメントされたのです。

「いま、拝見したOptimization、 あなたのおっしゃる経営の最適化というのは私たちがまさにこの大学院で追究している壮大なテーマです。あなたが三技協でやってこられたことはBusiness Intelligenceであり、Knowledge Management, Decision Support, Process Automationなどの経営理論と業務のFunctionをIntegrateしたGroupwareです。アメリカでもここまで実際にITの技術を使ってシステム化し、統合して実践している企業は珍しいですよ。私のスタッフで、Optimization の内容を詳しく検討してみたいですね」

正直言って驚きました。そんな言葉をぜんぜん期待していなかったからです。それには訳があります。

2007年12月25日

No16 経営の最適化を考えるOptimization 「部分最適」と「全体最適」⑤

このブログも本号で16回目、ことし最後となりました。当初は社内業務の効率化と「見える化」を進め、社員間や経営と現場のコミュニケーションを深めたい、ということで始めた経営のOptimizationは今、大きな岐路に立っている、ということを実感する年の瀬です。

Optimization 経営はどんな企業にも適用できる、言ってみれば普遍化、理論化が可能ではないか、と思えて渡米したことは本ブログの最初に書きました。そして強い光が射した、と直感したのがUCIの二人のComputer Scienceの学究にお会いした時です。

ガーバカザニィ教授のコメントは真にポジティブで、三技協のCyber Manual(CM)についてスタッフに研究させてみたい、と話されたのでした。それに驚いたのは訳があると前回、書きました。そのワケとはOptimization 経営に対する日米の真反対の反応です。

確かにOptimization 経営は未だ三技協という中小企業の実験的IT経営に過ぎません。しかしそれを強引とも言えるやり方で実践してきた反発もありました。附いて行けないと辞めていった古参社員もいました。しかし経営内容を数量分析してみたら「減収増益」~導入前に比べて6年で35倍も利益が上がった事は既述しました。

この実績から水が低きに流れるがごとくOptimization 経営の普遍化と理論化をめざしたい、という思いがわいてきました。2006年10月、経済産業省の推進事業である「IT経営百選」で最優秀企業に選定されたことも自信となり、いろんなところでOptimization 経営についてプレゼンテーションを繰り返してきました。30回を越えたと思います。

アメリカは全部で5回ですからほとんどは日本での講演です。私の話に対する日本人の反応は概して否定的でした。興味は示してくれますが経営の実際として考える人は少なく、特にコンピューターの専門家は「そんなこと言われなくても分かっている」と言わんばかりでした。

「三技協は技術サービスの会社でIT技術が分かる社員ばかりだからできたのでしょう。同じ事を自分の会社で全社員に強要したらパニックを起こして、効率どころか逆に会社はバラバラになってしまう」という批判もよくでました。

ところがUCIの二人の先生は強い興味と関心を抱かれました。注目したのは個々の業務やマニアルのweb化ではなく、webを使った“知”や“熟練”の共有であり、経営体としてのIntegration(統合)でした。「部分最適」ではなく「全体最適」です。ボトムアップから発信された「部分最適」を統合してゆく「全体最適」こそ、Optimization 経営にとって一番、大切なのです。視点は私とぴったり合わさっていました。新年が楽しみです。良いお年をお迎えください。