仙石通泰ブログ32 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」⑥
Googleという怪物企業について考えてみたい。それはOptimization 経営理論に深く関係するからです。数多くのIT関連ベンチャー・ビジネスが起業してきた中でGoogleは発想という点からして、群を抜いて特異で革命的な経営思想のもとに出現しました。
ウエブという無限の情報界を市場とし、ウエブ上で売買活動をコンピューターにさせるための枠組みを活性化したのです。検索エンジンという技術が深く関わっているため“サーチ・エコノミー”という言葉を使う人がいます。「検索経済」、消費者が買いたいものを検索して買い物するのです。
Amazonという本のウエブ販売サイトはあまりにも有名です。今、Amazonは230万点の書籍をウエブに載せているそうです。ベストセラーではなく細々と売れてゆく本が全体の売り上げの8割を占めるという、それを“ロング・テール現象”といいます。
従来の書店販売では売れ筋のベスト・セラーを平積みにして売る。売れない本はすぐ取り次ぎに返本してしまう。それをAmazonはウエブに載せる(書名をリストするだけ)ことで販売コストを限りなく下げ販売点数を限りなく拡大して、これまで書店では絶対実現できなかった少数多種類販売方式を検索エンジンが現実化したのです。
10万部売れたベストセラーの1冊と1冊しか売れない本だが10万冊をリストして売ったAmazonと金額では同じです。これがロング・テールと呼ばれる現象。マーケッティング理論で「パレートの法則」と呼ばれるグラフからイメージされた言葉で、商品全体の2割の売れ筋商品が金額で売り上げの8割を占め、商品の数を多くすればそれは恐竜(売り上げの2割が頭部分に相当)の長い尻尾に見えることから名づけられました。
日経新聞によればGoogleの時価総額は2008年8月時点で1572億ドル(約18兆円)を越えます。Microsoft(MS)が2160億ドル(約30兆円)といいますから、未だMSには及びませんが、アップルとほぼ同額です。eBay(5兆5600億円), Yahoo(4兆3440億円) Amazon(2兆1120億円)といった先発のITベンチャーをはるかに抜いて、いまやITの世界で最後発企業ながらGoogleはMSを急追しています。
Googleが注目されているのは「広告の最適化」でした。売る側としては「買いたい意思のある人」に広告したい。テレビや新聞のようにマス・メディアへの広告の出稿は広告費が高い割りに効果は期待薄です。その広告効果をGoogleは「検索」技術で最適化しました。
アドワーズという検索サービスはキーワードに関連する広告を同じページに載せます。「サーフィン」が好きな人なら「サーフィン」というキーワードが出たページにその関連広告を載せる、という広告方式です。Googleはさらに個人のホームページに広告を配信するアドセンスという広告サービスも投入しました。
2005年の第3四半期のGoogleの売り上げは15億7845万6000ドルだったが、その98.8%までアドワーズとアドセンスの広告が占めていた、と佐々木俊尚著『グーグルGoogle~既存のビジネスを破壊する』(文春新書)は紹介しています。購買者を狙った“ターゲット・アド”でGoogleは大成功しました。まさに最適化された広告こそ究極のアドと言えるでしょう。
