仙石通泰ブログ34 Optimization 経営を考える「文明が飛躍する時」⑧
Googleキャンパスを訪れ、その革命的経営思想を目の当たりにして触発されるものはありました。基本的にGoogleの経営者は世界中から最優秀の人材を一手に集め、快適な職場環境を提供し、そこから世界一、だれも追随できないような優れた技術をさらに開発して行こうということなのでしょう。
その結果はGoogle EarthやPicasaのように、思いつくけれど誰もやっていない(実現できなかった)ような無料サービスが、ある日突然Googleからリリースされることからうかがうことが出来ます。
従来の「人事管理」という考え方を完璧に棄てきっています。経営側は開発戦略を示して後はすべてを現場スタッフに任せる。そしてスタッフが開発する結果から優れた技術を採用してGoogleが提供するシステムに組み込んでゆく。徹底的な結果重視でスタッフを評価するという経営思想なのです。
30歳のN君の待遇を聞けばまず日本の企業ではありえないほど凄い。それに見合う斬新な発想、閃いた鋭いアイディアでソフトを開発してゆく実行力が伴わないと競争からドロップせざるを得ません。そのプレッシャーはまた想像を超える厳しさであろうことはN君の言葉の端端から伺えました。
Googleの経営に翳りが出てきた、と思わせる記事がNew York Times紙に出ました。2008年7月5日の同紙のwebsiteはJoe Nocera記者の「On Day Care, Google Makes a Rare Fumble(デイ・ケアで珍しく躓くGoogle)」という記事が掲載されました。Googleは社員の幼児のデイ・ケア・サービスを見直し、費用を倍額にすることを検討している、という観測記事です。
しかもこの記事のよるとGoogleの株価はピーク時、2007年11月、740ドルだったのが、記事が書かれた2008年7月の時点で490ドルと43%も急落、ダウ・ジョーンズの平均株価の値下げ率17%より下げ幅が大きいと指摘しています。
2004年の株式公開後、IT業界の革命児・Googleの進撃は並みいるITベンチャーを圧倒し、公開後わずか3年で8.7倍に急伸し、Micro Softに迫る成長で注目されたことは本Blogで先述しました。そのGoogleに翳りが見え、株価が下がってきた。
食費無料、構内にスポーツクラブ、出産支援、育児援助、洗車、オイル交換設備など注目された従業員の優遇政策を全面的に見直す、というNY Timesの記事は大きな反響を呼んでいます。そしてこの社員厚遇政策を止めたら優秀な社員が流出するかも知れないと暗示しています。
2年連続で『Fortune Magazine』が、”Best Company to Work For(就労最優良企業)”と評価したGoogleが輝きを失いつつある、というNY紙のコラムは厳しい開発競争で鎬を削る最先端技術業界の凄まじさを実感させるものがあります。Googleキャンパスを実際に見てきた直後だっただけに考えさせられる記事でした。
